2023/05/18 12:48
不妊症はひとえに女性側の問題として捉えられがちですが、実際に妊娠が行われるのは女性の体内であっても、妊娠は女性の卵子と男性の精子が結びつく行程が成立してこそ、初めて成し遂げられるものです。そのため、一概に女性ばかりに原因があるとも限らないのです。
WHO(世界保険機関)は、現代の成人男性の精子の運動率が20年前に比べ80%から50%にまで低下していると発表しました。食生活や生活環境の変化による影響が大きいとされ、このため元気な精子をつくれない男性は年々確実に増えていると言われています。
男性不妊は特別なことではありません。一般的に広く認識されていないことから発見が遅れていたり、非常にデリケートな問題のため表沙汰になりにくいだけです。実は男性不妊の問題に取り組んでおられる方はたくさんいらっしゃいます。
昨今の不妊、男性不妊の現状
まず、「不妊」とは、妊娠を望む健康な男女が避妊をしないで性交をしているにもかかわらず、一定期間妊娠しないものをいいます。
日本産科婦人科学会では、この「一定期間」について「1年というのが一般的である」と定義しています。
以前はこの一定期間について、「2年」としていましたが、近年「1年」に見直されました。また、女性に排卵がなかったり、子宮内膜症の合併、骨盤腹膜炎などの既往歴があったりすると妊娠しにくいことが分かっており、このような場合は上記の定義を満たさなくても「不妊かもしれない」と考えて検査や治療に踏み切った方が良いこともあります。
また、男女とも加齢により妊娠が起こりにくくなることが知られており、治療を先送りすることで成果が下がるリスクを考慮すると、一定期間を待たないですぐに治療したほうが効果的である場合もあります。
特に35歳以上の人は半年間でも子供ができない場合は、治療が必要と考えられています。実際に不妊の検査や治療を受けたことがある、または治療中のカップルは約10組に1組と言われていましたが、近年、妊娠を考える年齢が上昇していることもあり、この割合はもっと高く6~5.5組に1組と言われています。
不妊症の原因の内訳について
女性のみ→41%
男女両方→24%
男性のみ→24%
不明→11%
全体の48%は男性が関与しているという結果になっており(WHO世界保健機関調べ)こちらも年々増加傾向にあります。
男性不妊症Q&A
Q.タイミング性交を何回位して妊娠しなければ不妊検査を始めたら良いか?
通常日本人では新婚夫婦は1年間に70%妊娠すると言われています。
1年間に12回の排卵があれば12回のチャンスがあるわけです。2年目で妊娠する確率は20%です。ですから大まかにいうと1年間、排卵日を気にしてタイミング性交を行っても妊娠しなければ不妊症専門医の受診をおすすめします。