2023/09/13 12:59
“なかなか子供が授からなければ、不妊の検査を受けて必要な治療を受ける”
これは今、ごく自然な流れとして浸透しつつあります。しかし、やはり誰しも初めて自分に不妊の原因があると分かった時には、戸惑ったり、なかなか受け入れられなかったり、辛さや苦しみを感じたりするものです。
不妊は特別なことではないとはいえ、価値観や人生、家族観などに関わるデリケートな問題。簡単に受け入れられるものではありません。そして、そのことを十二分に分かっているからこそ、不妊の検査を受けることを躊躇しているという方も多いのではないでしょうか。特に、不妊=女性の問題とされてきた過去もあり、検査で事実を知ることが怖いと感じているのは男性に多いようです。
そこでこのページでは、男性不妊検査への心構えを作るための参考として、「不妊の男性によく見られる特徴」をご紹介します。もちろん、当てはまるから男性不妊である、当てはまらないから男性不妊ではないと判断できるものではありません。
男性不妊か否かを判断するには、きちんと医学的検査を受ける必要があります。ただ、検査の前に心構えとして一つステップを踏んでおけたら…というお気持ちを少しでもサポートできたらと思い、参考としてご紹介します。
特徴1 | 高熱を出したことがある
精子や精巣は熱にとても弱いという特徴があり、体温より2、3度低い環境が最も理想的だと言われています。そのため、高熱が続くような病気にかかった場合、精巣の働きにトラブルが生じたり、精子数が少なくなったりすることがあります。ただし、これは稀なケースであり、風邪で多少高熱が出たぐらいで影響が生じることは極めて少なく、さほど心配する必要はありません。
なお、「おたふく風邪」により高熱を出すと男性不妊になることがあると言われますが、これは高熱が原因になるというよりも、おたふく風邪の合併症が原因として指摘されています。15歳以上の男性がおたふく風邪にかかると、約30%という高い確率で「精巣炎・精巣上体炎」を併発します。これが稀に無精子症につながってしまうことがあるのです。高熱が出た=男性不妊とは決して言えませんが、一つのケースとしてあり得ると言えるでしょう。
特徴2 | 停留睾丸の手術を受けたことがある
停留睾丸とは、何らかの原因により陰嚢の中に入っているはずの精巣(睾丸)が体内に入ったままの状態である先天的な病気です。多くは乳児期の健診で見つかり、半数以上は生後半年までに自然に精巣が降りてきますが、降りてこなかった場合については手術の適応となります。
この停留睾丸という症状の中でも左右どちらか片側だけだった場合は、妊娠に関して普通の男性とさほど変わらないと言われています。しかし、両側が停留睾丸だった場合、50%前後という高い確率で男性不妊となる可能性があると報告されています。
特徴3 | 鼠径ヘルニアの手術を受けたことがある
停留睾丸と同様に鼠径ヘルニアの手術によっても男性不妊が招かれることがあります。鼠径ヘルニアとは腸の一部や腹膜が鼠径部の皮膚の下に出てきてしまう病気で「脱腸」とも言います。場合によっては手術が必要で、この手術の後遺症によって精子の通り道である精管が閉塞し、無精子症となることがあります。
特徴4 |がんの治療をしている
がん治療の際の放射線や抗がん剤が精巣の働きを低下させ、精子の数を減らしてしまったり、無精子症を招いてしまったりするケースがあります。がん治療の前に精子を凍結保存しておくという対策が理想的ではありますが、その当時はがんの治療のことで精一杯だったりして精子凍結という選択肢が頭になかった方もいらっしゃることでしょう。なかなか子どもが授からないという方で、がん治療の経験がある方は一度医師に相談してみましょう。
特徴5 |ライフスタイルが乱れている
男性不妊の一因として、ストレスや喫煙、不規則な生活リズム、栄養バランスの乱れた食事などが指摘されています。ですから可能性として、このようなライフスタイルの問題がある方は、精巣の働きも低下しやすく、男性不妊を招きやすいと考えられるでしょう。しかし誰しも一つや二つライフスタイルに問題があるもので、そういった方々の多くが男性不妊に悩んでいるのかというと、決してそうではありません。むしろ、多少ライフスタイルは乱れているが男性不妊ではないという方の方が多いのではないでしょうか。あくまでも男性不妊を招きうる可能性の一つとしてとどめておきましょう。
特徴6 |男性的な身体ではないケースも
男性不妊の原因の一つに「クラインフェルター症候群」という先天的な病気があります。性染色体の異常によるもので、身体的に特徴が出やすい病気としても知られています。
基本的に男性不妊という症状が身体的に現れることはなく、外見から男性不妊であるか否かを判断することはできません。しかしこのクラインフェルター症候群に関しては、「高身長」「瘦せ型」「肩幅が狭い」「毛が薄い・声変わりしていないなど女性的」といった身体的特徴があることが確認されています。ただこれも教科書的にそうあるだけで、クラインフェルター症候群であっても背が低い、肥満、男らしい方はたくさんいらっしゃいます。実際のところは検査してみなければ分かりませんので、外見がそうだからと言ってむやみに不安がるのは止めましょう。
男性不妊のほとんどは自覚症状がありません
精巣が小さい・陰嚢が腫れている・精液量が少ないなど、器質的な問題が原因になっている男性不妊は、自覚症状があらわれることもあるといわれます。
また、ED(勃起不全)や射精障害によって、性交渉に問題が生じている場合もご自身で判断できます。
しかしながら、精子の数が少ない・運動率が悪い・奇形精子が多いという場合は、多くの場合で自覚症状がなく、ご自身での判断はほぼ不可能に近いのが現状です。こうした男性不妊は、男性不妊のほぼ90%を占めています。男性不妊の自覚症状については色々な見解がありますが、性欲や射精回数、男らしさとは関係ないといわれています。また、日常生活での支障もありません。したがって、精子数や運動率の問題を判断するためには、病院できちんと検査されることをおすすめします。
⇒精子の数を増やす・運動率をUPする「改善法」
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