2023/10/03 17:58
ひと昔前に比べると、不妊症に対する理解は深まり、妊活中であることや不妊治療を受けていることをオープンにしている方も増えつつあります。しかし、やはり初めて不妊の検査を受ける際には、「不妊という事実を突きつけられるのが怖い」「不妊クリニックに行きづらい」など、抵抗感を感じる方は多いものです。特に男性は検査で自らの精液を提出しなければならず抵抗感はなおさらのこと…。
不妊を乗り越えるため妻と共に頑張りたいと思っている男性であっても「お安い御用」というわけにはいかないことでしょう。
男性が不妊症と向き合う第一歩となる精液検査。
この精液検査に対するハードルを少しでも下げることができれば、男性は今よりもっと不妊と向き合いやすくなるのではないだろうか…という思いを受けて開発され、最近注目を浴びているのが「精子検査キット」です。
精子検査キットの正確性は?
精子検査キットは自宅で精液を採取してスマホのカメラで精子の有無を観察したり、専用アプリで撮影・送信して数値を計測したりできる検査キットです。インターネット通販で誰にも気づかれることなく購入することができます。
使用方法については説明書もきちんと添付されており、特別難しいものではないでしょう。
ただ最も肝心な正確性という点では、やや不安が残ると言わざるをえません。なぜなら、精子検査キットはスマホのカメラ機能を使用して検査を行うからです。照明の加減やピント合わせはなかなか難しく、撮り方によって映り方が異なれば、チェック結果も大きく異なってしまいます。
精液検査の代用にはならない
病院での精液検査には抵抗があるという男性にとって、病院へ行かずして精子の状態をセルフチェックすることができる精子検査キットは非常に便利で取り入れやすいものだと思います。しかし、精子検査キットにも説明があるように、あくまでも簡易チェックであって病院の精液検査の代用となるものではありません。精液中の精子の数や運動率、奇形率が自然妊娠を望めるレベルに達しているかどうかを判断するにはやはり精液検査と医師の診断が必要です。これから先、精子検査キットも進歩してもっと精密な検査結果が得られるものになるかもしれませんが、現時点ではご自身の精液中に精子が存在するかどうかを観察するぐらいのものと理解して取り入れると良いでしょう。
「泌尿器科で検査」「自宅で採精」という手段も
女性だらけの婦人科で精液検査を受けることに抵抗があるという男性は、一度泌尿器科に相談してみてはいかがでしょうか。
精液検査は多くの泌尿器科でも実施しています。
また、男性がどうしても病院での精液検査に抵抗がある場合や忙しくて病院に行けないという場合、自宅で精液を採取してパートナーの女性が病院へ持参するという方法をとっている病院もあります。ただ自宅採精の場合、気温や紫外線などが精子に影響を及ぼす可能性があるため、できる限り正確な検査結果を出すべく病院から「数時間以内に持ってきてください」と言われることがほとんどです。そのためご自宅から病院までの距離によっては、自宅採精による精液検査が難しいという場合もあるでしょう。
不妊と向き合う手助けとして活用を
前述の通り、精子検査キットは正確性にやや不安が残り、精液検査の代わりとなるものではありません。
男性不妊の有無を正しく判断するためにはやはり病院での複数回に渡る精液検査と医師の診断が必要です。しかし、病院での精液検査に抵抗を感じている男性にとっては取り入れやすく、不妊と向き合う第一歩を手助けしてくれるツールとなるのではないでしょうか。精液検査の結果を知るのが怖い、でも子どもは欲しい、妊娠のため何かしなければならないけれどどうすれば良いのかわからない…。そんな様々な思いから動き出せずにいる男性も精子検査キットによって事前に自分の精子の状態を知ることでいわゆる腹づもりができて、精液検査を受けやすくなるかもしれません。
⇒精子の数を増やす・運動率をUPする「改善法」