2023/10/04 12:13
フーナーテストと精液検査の違い
基本的に男性不妊であるかどうかは精液検査により判断されますが、女性が先行して不妊検査を進めていく中で、検査のひとつである「フーナーテスト」の結果から男性不妊が疑われることがあります。
実際、フーナーテストの結果が悪く、男性不妊の疑いがあるということで精液検査をした結果、男性不妊が発覚したというケースは少なくありません。
このページでは、男性不妊を疑うきっかけになることがある「フーナーテスト」の基礎知識と、精液検査との違いについて解説します。
フーナーテストは性交後の精子を調べる検査
フーナーテストは女性が受ける様々な不妊検査の中でもポピュラーなものの一つとして知られています。
別名「性交後検査」とも呼ばれ、その名の通り、性交後の子宮頚管粘液内にある精子の状態を見て、その相性に問題がないかどうかチェックします。検査方法は、検査前日あるいは当日に性交渉を行い、病院で子宮頚管粘液を採取するだけと非常に簡単です。採取には注射器のようなものが使われますが、多くの場合、痛みはほぼありません。検査は、子宮頚管粘液の分泌が多くなる排卵日頃に合わせておこなわれます。
フーナーテストの結果からわかることは?
前述の通り、フーナーテストは子宮頸管粘液内にある精子の状態を見て、その相性チェックするものです。結果は4段階で示され、子宮頸管粘液内で動いている精子が15個以上なら「優:妊娠率が高い」、14個から10個であれば「良:妊娠が十分に期待できる」、9個から5個であれば「可:妊娠が期待できる」、4個以下の場合は「不良:妊娠の可能性が低い」と診断されます。
結果が不良だった場合、女性側に精子に対する抗体がある「抗精子抗体」や「男性不妊」などが疑われます。ただし、そもそも精子の状態は体調などに影響されやすいため、一度結果が悪かっただけで問題があるという判断にはなりません。複数回テストを繰り返してやはり不良という結果が出る場合には、原因をきちんと特定するために抗精子抗体の検査や精液検査を実施することになるでしょう。
フーナーテストが悪い=男性不妊ではない
フーナーテストも精液検査もどちらも「精子の状態を見る」という点は同じです。そのためフーナーテストで精子の数が少なかったり動きが悪かったりした場合に、男性不妊なのではないか、妊娠が難しいのではないかと思い悩まれる方は多いことでしょう。しかし、フーナーテストの結果が悪くても精液検査を受けてみたら数値は正常だったというケースは珍しくありません。フーナーテストが悪い=必ずしも精子に問題がある、男性不妊であるというわけではないのです。
というのも、フーナーテストは“性交後6時間から12時間以内に女性の子宮頚管粘液内に存在する精子”をチェックする検査です。これは性交後6時間から12時間以内であれば精子が子宮頸管に存在しており、その状態を確認できるであろうという推測の元おこなわれていますが、そもそも受精能力のある精子ならばもっと早くに子宮頸管を突破しているだろうと考えられています。また、数時間経っても子宮頸管に留まっている精子は、端から卵子を目指す生存競争で生き残る力がない弱い精子なのではないかという指摘もあります。つまりフーナーテストはタイミングが非常に難しい検査で、正確性についても疑問視する声が非常に多いのです。精子の数や運動率が正常であるかを判断するためには、やはり精液検査を複数回受ける必要があります。
フーナーテストで問題なしでも精液検査は必要!
それでは反対にフーナーテストの結果が良く元気な精子を確認できた場合、男性不妊である可能性はないのでしょうか。
精液検査をする必要もないのでしょうか。
答えはNOです。フーナーテストはあくまでも女性の子宮頸管粘液と精子の相性をチェックする検査です。参考程度に精子の状態を知ることはできますが、精子の数や運動率、奇形率が本当に妊娠に問題ないレベルであるのかどうかはきちんと精液検査を受けてみなければ判断できません。実際、フーナーテストでは良い結果が出たけれど、精液検査を受けたら精子に問題があったというケースも存在します。ただ、フーナーテストの結果が悪かった場合と比較すると、結果が良かった場合については動いている精子が確認されているわけですから、精子に問題はないのではないかという見方をする医師が多いようです。
精液検査はフーナーテストで代用可能?
最近は夫婦揃って妊活することも珍しくはなくなってきました。しかし精液検査や不妊治療を受けることに対して抵抗感を持つ男性はまだまだ多く、そんな男性の気持ちを尊重したいという女性の中には「フーナーテストが精液検査の代わりにならないか」と考えられる方もいらっしゃるようです。
実際のところ、男性側がどうしても精液検査に抵抗があるという場合に、稀ではありますがフーナーテストを精液検査の代用とするケースはあります。しかし、これまで述べた通り、検査により知ることができる精子の状態はあくまでも参考程度のものです。基本的にはフーナーテストと精液検査は目的が異なるものと理解し、必要に応じてそれぞれの検査をきちんとうけるようにしましょう。